カスハラ対策研修では何を学ぶ?威嚇や身体接触から職員を護るために

カスハラ対策研修で大切なのは、相手に勝つ技術を覚えることではなく、職員が危険を察知し、一人で抱え込まず、安全を確保するための判断と行動を学ぶことです。対話による対応と、威嚇・接近・身体接触に備える安全対策は、両方を組み合わせて考える必要があります。

2024年3月9日、本部で労働基準監督署の職員を対象に実施したカスタマーハラスメント対策実践講座の様子
2024年3月9日、本部で実施した労働基準監督署の職員向けカスタマーハラスメント対策実践講座

IGBAの実施事例を交えながら、対話による問題解決と身体的な危険への備え、研修の導入前に確認したい点を紹介します。

対話による問題解決と身体の安全を組み合わせる

窓口や接客の現場では、相手の話を聞く、事実を確認する、組織の対応方針を伝える、といった対応が必要になります。一方、身の危険を感じる場面で、説明を続けることだけに集中してしまうと、退避や応援要請が遅れるおそれがあります。

研修では「どのように話すか」だけでなく、「いつ対応を引き継ぐか」「どこへ離れるか」「誰に助けを求めるか」を、職場のルールと結びつけて確認することが重要です。正当な意見や苦情まで一律にカスハラと扱わず、相談内容と危険な言動を分けて考えましょう。

ディエスカレーションで問題解決を図る

剣護身術・IGBAのカスハラ対策実践講座の特徴は、身体的な護身の技術だけでなく、ディエスカレーションを使い、相手の怒りや緊張を和らげながら問題解決を図る視点も扱うことです。講座では、言葉の伝え方と、表情・姿勢・距離などの非言語的なコミュニケーションの両面を扱います。

言葉と聞き方:穏やかに、短く、具体的に

相手の話を注意深く聞き、困りごとに理解を示しながら、穏やかな声で短く具体的に伝えます。協力して問題を解決する姿勢を示す一方、その場しのぎの約束や、対応できない要求への安易な同意は避けます。相手の気持ちを受け止めることと、要求をすべて受け入れることは同じではありません。

表情・姿勢・距離:威圧せず、安全にも備える

落ち着いた表情、威圧感を与えない姿勢、急な動作を避けること、相手との距離や立ち位置への配慮も扱います。言葉だけでなく、自分の態度が相手にどう伝わるかを確認しながら、危険が高まった場合に離れられる備えを組み合わせます。

ディエスカレーションは、どんな相手も必ず落ち着かせられる方法ではありません。対話で解決できる可能性を探りつつ、威嚇や暴力などの危険が高まる場合は、対話を続けることに固執せず、退避・応援要請・責任者への引継ぎや警察への連絡など、組織の対応手順と安全確保を優先します。

IGBAのカスハラ対策研修の実施事例

2024年3月9日:労働基準監督署の職員を対象に本部で実施

2024年(令和6年)3月9日、本部にて、労働基準監督署の職員を対象に「カスタマーハラスメント対策実践講座」を実施しました。講座では、リスク評価と対応の段階、ディエスカレーション、緊急時の呼吸法、身体的な危険に備える対応などを扱いました。

現場での問題解決を目指すコミュニケーションと、職員の身を護るための備えを、一体として考える実践講座です。具体的な実技は、指導者の安全管理のもとで学ぶ必要があります。

2025年12月12日:神戸市の幹部職員向け講座

2025年12月12日、剣護身術兵庫支部は神戸市の幹部職員約40名にカスタマーハラスメント対策講座を実施しました。寺西支部長が、呼吸、声と姿勢、距離を保つための護身の考え方を、実技と実演を交えて伝えました。

神戸市の幹部職員へのカスハラ対策講座の実施報告

落ち着いて判断するための呼吸

緊張する場面を想定し、自分の呼吸や身体の状態に気づくことも研修の入口になります。ただし、呼吸法を行えば危険がなくなるわけではありません。身の危険が迫っている場合は、落ち着くためにその場にとどまらず、安全な場所への退避を優先します。

声・姿勢・距離を実際に確かめる

声・姿勢・距離について、知識を学ぶだけでなく、実際に身体の感覚を確かめます。声や姿勢による抑止は万能ではなく、距離も相手や場所によって変わります。特定の動作さえできれば安全、という理解にしないことが大切です。

職員個人の技術だけに任せない

身体的な備えは、相談体制や職場の対応手順の代わりにはなりません。厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、カスタマーハラスメント対策のマニュアル等が公開されています。組織としての対策を検討する際は、こうした公的資料も確認してください。

厚生労働省:カスタマーハラスメント対策の資料

研修の準備では、例えば次の項目を職場内で整理しておくと、現場に即した相談ができます。

  • 一人で対応を続けず、上司や同僚へ引き継ぐ手順はあるか
  • 窓口・受付・訪問先で、退避先や出口を確認できるか
  • 応援を呼ぶ方法と、連絡を受ける担当者は決まっているか
  • 危険がある場合の警察への連絡手順を共有しているか
  • 事後の報告・記録と、職員のケアにつながる相談先があるか

研修を依頼する前に確認したいこと

「カスハラ研修」という名称だけで内容を判断せず、職種、想定場面、参加人数、会場、実技の有無、身体への負担を事前に伝えましょう。法律・制度や苦情対応の研修と、身体の安全を扱う研修の範囲を確認することも必要です。

実技を含む場合は、接触の程度、体調や運動経験に応じた参加方法、安全管理、無理なく見学できるかを相談してください。IGBAへの相談時にも、過去事例と同一内容を前提にせず、目的に合わせて実施可能な内容を確認します。

よくある質問

護身術を学べば、どんな相手にも対応できますか?

いいえ。研修は安全を保証するものではありません。危険回避・退避・応援要請を基本とし、相手を制圧することを目的にしない姿勢が重要です。

運動経験がない職員の参加はどう相談すればよいですか?

運動経験や身体的な配慮事項を事前に伝え、実技の強度や参加方法を相談しましょう。すべてのプログラムが誰にでも同じ方法で適しているとは限りません。

まとめ:対応を続ける力と、離れる判断を一緒に考える

カスハラ対策では、対話の対応だけでなく、職員の身体の安全を護るための備えが必要です。実施事例を参考にしつつ、職場の連絡・引継ぎ・退避の手順と組み合わせて研修を検討してください。暴力などの切迫した危険がある場合は安全を優先し、日本国内では警察への緊急通報は110番です。

カスハラ対策研修のご相談

対話による対応と身体的な危険への備えを学ぶ研修をご検討の企業・自治体のご担当者様は、IGBAへご相談ください。

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研修の内容・料金・実施条件は、個別のご相談時にご確認ください。

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